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最高裁判所第二小法廷 昭和43年(ヤ)55号 判決 1969年2月28日

再審原告

丹羽良一

代理人

鈴木匡

ほか三名

再審被告

井上浩

主文

本件再審の訴を却下する。

再審費用は再審原告の負担とする。

理由

再審原告代理人鈴木匡、同大場民男、同清水幸雄、同林光佑の再審理由について。

所論上告代理人鈴木匡外三名の上告理由第一点および第二点については、本件再審の申し立てられた判決の原審判決である控訴審判決は、従前の土地の一部を賃借する者は、土地区画整理法八五条の定める権利申告の手続をして土地区画整理事業の施行者からかりに使用収益しうべき部分の指定を受けないかぎり、仮換地につき現実に使用収益できない等といつているにすぎず、右権利申告の手続をしない者が完全に権利を失つてしまうといつているのではないから、憲法違反の所論は前提を欠くものといわなければならず、理由がない。

同第三点については、その二は再審の申立てられた判決の原判決の認定しない事実に基づく主張であり、その他はすべて独自の見解であるから、所論は理由がない。

同第四点については、所論のとおり訴の変更であるとしても、それについては当時再審原告から異議が述べられなかつたことは記録上明らかであるから、所論は理由がない。

同第五点については、再審の申し立てられた判決における上告理由第三に対する判断により所論の理由ないことは明らかである。なお、再審原告代理人らから提出された昭和四三年一一月  日(日の記入はない)付上告理由書(当庁昭和四三年一一月一九日受付印のあるもの)は、当裁判所昭和四三年(オ)第七三六号事件の適法な上告理由書提出期間内に提出されたものでないから、これについては判断を加えない。

以上のとおりであるから、さきに当裁判所がした上告棄却の判決は、結局正当と認められる。

よつて、民訴法四二八条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(草鹿浅之介 城戸芳彦 色川幸太郎 村上朝一)

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